この記事は「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズ過去作のネタバレを含んでいます。
S.T.A.L.K.E.R.シリーズに登場するゾーンは現実世界のゾーンと同一ではない。1986年に起きたチョルノービリ原発事故は共通しているものの、物理法則を捻じ曲げるアノマリー、アノマリーから生成されるアーティファクト、人々を洗脳するpsi放射線、異形のミュータントなど独自の設定が数多く盛り込まれている。
S.T.A.L.K.E.R.シリーズを象徴するこれらの異常現象は、2006年に発生した2度目の災害「Emission」に由来している。一瞬にしてゾーンを異常な危険地帯へと変化させたこの厄災はなぜ発生したのだろうか?
この答えはS.T.A.L.K.E.R.シリーズの過去作をプレイすると明らかになるが、未プレイの人のためにここで解説する。
Emission(2006年)
3月4日:まばゆい光の現象がチョルノービリ原子力発電所の上空を照らした。この現象は2時間続いた後、急に消え去り、目撃者たちはまるで電力が突然失われたかのように消えたと語っている。
4月12日 14:33 +2 GMT:再び同様の現象が発生し、空は耐え難いほど明るい光で照らされた。しかし、雲は急速に蒸発した。これに続いて非常に長く続く激しい雷鳴が轟いた。雷鳴が消えた後、不気味な静寂が訪れ、それに続いてマグニチュード6.9の地震が発生した。空の光はさらに広がり、地域全体を覆い尽くし、ゾーン内で致命的なエネルギーの乱れが発生して、救助活動は不可能となった。その後の調査で、爆発の中心はチョルノービリ原発から少なくとも1キロメートル離れた場所、明らかに核燃料廃棄物の爆発地点であったことが判明した。
6月10日:「第二の災害」として知られることとなった「Emission」の後、ゾーンは突然5キロメートル拡大した。「新しい」ゾーンが出現し、科学の法則が無視されたと報告される事例が相次いだ。周囲の軍事拠点のほとんどが壊滅し、ゾーン内のさまざまな研究施設のスタッフや乗組員も命を失った。近隣の村々からは再びパニックに駆られた人々が避難した。
Emissionが発生した原因
Emissionは自然災害ではなく、人間が引き起こした人災である。
チョルノービリ原発事故の後、ソビエト連邦は人間の精神に関する特別な研究のために立入禁止区域を利用することを決定した。ゾーン内に配置されたグループは、ESP(超感覚的知覚)の向上や「Project 62」などの成果をもたらした。1991年にソ連が崩壊したものの、新たに独立したウクライナは、ゾーン内で行われていたソビエトの実験を終わらせる力を持たず、科学者たちは妨げられることなく研究を続けた。科学者たちの研究は最終的に、地球を取り巻き、互いに影響し合う人間の精神や思考に関係するエネルギーの見えない場である「The Noosphere」の発見に繋がった。
やがて、この科学的進展は、noosphereを使用して人類全体に心理的な影響を与え、残虐性などの否定的要素を除去する方法を探求することへと科学者たちを駆り立てた。これにより、7人の科学者が神経的に連結された集合意識「Common Consciousness」と呼ばれるハイヴマインドが結成された。最初の介入は2006年3月4日に行われたが、停電により失敗した。1か月後の4月12日、再び実験が行われ、今回は完了するまで続いた。しかし、期待された効果は得られず、代わりに実験で使用された出力装置がnoosphereに亀裂を生じさせ、生物圏に直接影響を及ぼすようになった。その結果、物理法則が完全に破られ、現代科学では理解できない不可思議な現象が現れる広範囲な区域、すなわち「ゾーン」が生まれた。